続・私的死的指摘

友人が逝ってしまい、私はその部屋を片付けている。
生きているあいだに片付けてあげるつもりが、予定より2週間ほど早く逝かれてしまったので間に合わなかった。そこは申し訳無いと思いつつ、私にも年末年始は予定がありましてー特に年末は忙しかったので間に合わせたかったけど無理だった。

自分が去ることを前提に、目の前で自分の部屋を他人が片付けている気分はどう?
そりゃイイわけないけど、やってもらえるのは幸せだし安心していなくなれるね!


私だったとしても同じだなあ、部屋にあるアレとかコレとか絶対に人には見られたくないし
逆にPASSを教えないままだと残された人たちが大迷惑なものもあるから、
そこは生きているあいだに判断したいものである。


友人宅は結構広い庭があり、庭の横には駐車場というか元は畑だった場所があり、そこで焚き火をしながらなんだかんだを焼く。実に原始的な方法だけど、焼いている様子が2階の窓から見える。
部屋から持ち出したものを箱に入れ、階段を下りてその元畑に行き、焚き火の中に突っ込む。

都会でコレやったら一発で苦情が来るけどここは郊外でまあまあ田舎だからお目こぼし。
壊れたカサの骨だけのやつで火をかき回すと空気が入って紙などはすぐに燃えて灰になる。
友人がダウンコートを着て降りてきて、これもこれもと箱に入れる。

こうしていると、特にその、病気には見えないねえ。
うん、そうだね、そうだと思う。顔色も全然いいし。
どこも痛いところないんだよね。
うん、奇跡的にかな、家にいると落ち着くのかもしれない。
病院じゃ痛かったの。、
痛いというか、ここじゃ死ねない、死にたくないという気持ちかな。
じゃあ病院にいたほうが長生きできるじゃん。
そりゃそうかもしれないけど、そんな風に1日や2日寿命伸ばしても嬉しくもナンともないって!
雲が凄いことになってきた!雨降るかも。

おーもう一回雨を見たいと思ってたんだよね、雷や台風は無理だけど雨は見たかった。
あ、そうかそういう考え方か!んーなんか新鮮だわ新鮮。

ずっと晴れより雨も曇りもあるといいなあ。雪はどうだろ、降るかな。
週間天気予報によると、おおクリスマス付近は雪だ!
雪かあ!!ああ雪降らないかな。降ってほしい!マジで!
そうして考えると冬が一番いいね、いろいろな天気を見られる可能性がある。
だね。夏に雪は100%期待できないけど冬にも暖かい日はある。
さすがに海で泳ぎたいという願いは無理だけど!
いいよいいよ、散々泳いだから泳ぎはもういい。雪だよ雪。ああ雪見たいな。

富山か新潟行って雪を持ってきて、運んできてあげようか?
江戸時代の氷室役人かい!ってね(笑)お願いするかも知れない!
車で行くとスタッドレスないからヤバイんで電車で行くわ。

ほらあれ、智恵子抄だっけ!雨雪ナントカカントカ
違う違う(爆笑)アメユキトチテケンジャは宮沢賢治でしょ!
そだそだ妹がお茶碗に雪を入れてきてくれというやつ、あの妹は死んだ?
死んだ死んだ。肺結核。
仁で武田鉄也が死んだ奴ね、南方先生、未来では労咳は治る病気ですか?
はい治ります。

咲さん!これは・・・ペニシリンでございます!!!(爆笑)
ペニシリン(爆笑)はあはあ、お腹いたいッ!煙が目に入るし!

雪は見られたけれど最後の1日の前の夜は殆ど話すこともできなくなり、
時々唇が動くのを見て
「何?何?きゃりーぱみゅぱみゅ?」とか言うと、クックックッとかすかな声で笑っていた。

長年飼っていた猫が足音も立てないで入ってきていた。いつ来たんだろう?
動物には分かるのだろうかその時が。


結局、本当に死んだのかどうかを確認するのはドクターの役目で、
今の時代、素人がそれをチェックするというシステムがない。
書類がないと死んだことにはならず、火葬もできないのだ。


生き物、動物としての物理的な死、
書類とか手続きとかのシステム的な死、
通夜や葬式、初七日といった儀式による死の確認と周知、
さらに残された遺品や財産などを整理分配・廃棄する物的な死、
そこに絡んで相続などの法的な死

死の種類は多いのだ
実に多いのだ

私は物理的な死を見て、お世話になりました、じゃあ、と言って靴を履いて駅まで歩いて帰った。
その道は元気なときは友人が送り迎えしてくれた道で
先日までは友人の両親どちらかが送り迎えしてくれた道で
最近は私が自分の車で行き来していた道だ。
車を乗って来ようかどうしようか迷ったんだけど、(状態が)よろしくないと分かっていたので他に誰かが車を止めたいだろうと思って、車を置いて歩いてきた。
往復10キロ歩いたことになる。
私がいつも止めていた場所にはドクターの銀色のバンが駐車された。

死んでから莫大な財産が!
実は隠し子が!!
ベッドの下から重大な告白の手紙が!
家族も知らない場所に秘密の家が!
庭の椿が一夜にして枯れた!
火葬した骨から薬物が!!!


などというサスペンスもミステリアスな出来事もなく
なんのサプライズもなく
予定通り全てが終わって、私はまたここに来た。

寝ていた場所に友人が寝ていたように私も寝てみた。
オカンが来て私がしていたように覗き込んだ。
あーこういう風に見えていたんだなと思った。
意外に顔が近い!!近すぎる!!!(笑)


お母さん近い近い!!(爆笑)
ほんと?近い?シワシワ丸見え?(爆笑)
生え際の白髪がドアップです。
まあイカンわねえ、きれいにしとかないと!
全然若いですよお母さん!


猫がニャーと言いながら入ってきた。
一人ぐらい死んでも世の中はいつも通りだし、
一人ぐらい死んでも友達は他にもいる
だけど猫とオカンにはこいつしかいなかったのだ。

両親の金婚式で貰った赤飯を持ってきた(爆笑)
オカンがあたし赤飯大好き、もう何年も食べてないと大喜び。
いきなり箸をスパーンと割って即食!

赤飯が炊けるって幸せよアナタんちは
あざーす。親には長生きしてもらわないと
親は先でいいのよ、ご両親もそう思ってるはずよ
親が死ぬとか想像できないな、覚悟はしてるつもりだけど
ウチなんか子供が先なのよ、老後の計算狂ったわ!孫もいないのよ!
孫かあ孫ねえ。ああ耳がいてー

赤飯完食!

お父さんに半分残しておいてあげようと思ったけど食べ散らかしちゃった
あ、車の中にもう2つあるからあげます
いいの?よそのでしょう?
いいのいいの、1つは親戚ので、1つは生徒さんのだから
まあ私いやしいこと言っちゃってごめんなさい悪いわねえ
いいや、親にはごめん私食べちゃったって言う
プロが炊くとお米が立ってるわ!おいしいもんこれ!大好き!
食べたからお母さんたちも金婚式までいけます!
まあ嬉しいわあ、がんばるわね、長生きしなくちゃ!




これは殯(もがり)だ、ある種の殯なのだと思った。




思い出に浸って泣く時間
忘れて過ごす時間
いなくなったことを改めて確認する時間
再び思い出して涙を流す

その繰り返しで物理的な死というインパクトの強い体験は風化し
やがて「人生における単なる1つの出来事」に昇華されていくのだろう。



あ、しまったお参りもしてないや。
通夜も葬式も何も来てないような人間が今更何を言うって感じです。
そもそもこの家に仏壇なんてあったっけ?
まあいいや赤飯食ってからで。
非常識でもなんでもいいや、とりあえずこのオカンと一緒にいたいもん
オカンはやっぱ笑っていた方がいい
どこのオカンであろうと笑っているオカンがいいに決まっているんだ。


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殯(もがり)とは、日本の古代に行われていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでのかなり長い期間、棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ、かつ慰め、死者の復活を願いつつも遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、死者の最終的な「死」を確認すること。「腐敗、腐臭が死者の生前の行いによって左右される」と考えられ、生前の行いが良い者は、腐敗せず腐臭もしないとされていた。その棺を安置する場所をも指すことがある。殯の期間に遺体を安置した建物を「殯宮」(「もがりのみや」、『万葉集』では「あらきのみや」)という。殯宮の前に殯庭という庭が設けられ、親族はそこで諸儀礼などを行った。遺体の状況確認、獣や魔から遺体を守る事は奴隷の仕事とされていた。
殯の儀式は大化の改新以降に出された薄葬令によって、葬儀の簡素化や墳墓の小型化が進められた結果、仏教とともに日本に伝わったと言われる火葬の普及もあり、急速に衰退する。


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by fraterkouhou | 2013-01-21 13:25 | つぶやき

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