HANABI

a0275715_1563597.jpg


小さい頃は大人は万能だと思っていた。
そう、私は早く大人になりたくて仕方がない子供だったのだ。

体が弱く先の見通しも無く、ゴム飛びの輪ゴムを1日編んでも使う日は来ない。

積み木、トランプ、ブロックをやり尽くして囲碁、将棋、チェス、百人一首もやり尽くして、家にある本を読み尽くし、
母が読んでた育児書まで読んで、二階の窓から見えるものを全部絵に描いて、広告という広告をハサミで切り抜き尽くし、
百科事典を1ページずつめくって読破し、日本むかし話と世界むかし話を聞き尽くし、絵のない本に勝手に挿し絵を描いていた。
目覚まし時計やカセットテープを分解し、どこまでもどこまでも深く庭に穴を堀り、瓶の中でアリジゴクを飼ってウスバカゲロウまで育て
また最初から江戸川乱歩の少年探偵団を
読み直して、更にはエドガーアランポー、エラリークイーンを読み尽くして
夏休みと冬休みと春休みは山奥に預けられて一人で遊んだ、死なないために!(笑)

不思議だ~

そんなにまでしてもらって手に入れた人並みの健康は、過激な反発に向かって加速する道具になった。

死んでくれた方がマシ

ぐらいに思っていたに違いない。親は。


中央高速を長野に向かってバイクで走って転落した時には、自分の人生も終わったかなあと思いました。
セミの声が凄くて、空はどこまでも青く、だけど助けは来ない。
ここで死ぬのかな、ここは何県なんだろう?県境なのだろうか?長野にはもう入ってますか?


父が海外に仕事で行くようになってから、私の目は海外に向くようになった。
桂川に滞在する父に着いていって韓国に行ったのが始まり。

それからはアジアンツアーに傾倒し、インド、ネパール、チベット、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、シンガポール、グアムやサイパンは殆ど2週に1回。
しかも更にローカルで飛んでマニャガハ島やロタ島、ジャワ島などへ繰り出して国籍不明の怪しい人種になっていたと思います。

家にも帰らず、家出同然。
家出どころか行方不明。

守るべきものがない人は破滅的で危なくてしかたがないと言いますが、人は本能的に自分の命を守ろうとする。
自分の場合はいつも「なあんだこのぐらいのことやっても人は死なないんだ、ふうん」と思っていたために、
メチャクチャなことをたくさんして自分の命運を試していたようなところがあった。どうせ人はいつか死ぬのだし自分はそれが人より早い。それなら好きなようにする方がいいだろうというロジック。

そういう私に、いいじゃんそれで、俺も似たようなものだし!と言ってくれていた幼なじみが自殺して
一緒に沖縄に移住しよっかぁ、あたし付き合うよって本気で言ってくれていた友達が白血病で死んで
夜通し遊んで一番の仲良しだったお姉さんが肺がんであっという間にこの世を去り
可愛くて頭がよくて何でもできる憧れのような存在だった親友が医療事故で植物人間になってやがて亡くなった。

私はその度に食べたものを全部吐いて何か目に見えないものに対して「ごめんなさい、もうしませんから」と謝っていました。


命の大切さを教える?
人の痛みを知る子に育てる?


バカじゃないのかと思う。
そんなもん学校で教えられるようなことなのかと。

今年もお盆には花火をあげる。
太陽の差さない部屋で窓から見ていた、花火の煙。
日が暮れたら花火に連れていって貰えるから朝から浴衣を着て待っていました。

相撲のマス席で千代の富士を見せてくれたり歌舞伎俳優に抱っこして貰ってくれたり、大きな大きな花のついた豪華な着物を買ってくれたじいちゃん。
花火大会は大人に混じって特等席で見ていた。鵜飼や屋形船、盆踊りや出初め式もいつもいつも特等席。

そんなにまでしてもらっていても、私の心は水底に漂う藻みたいに、深く沈んでは少しだけ浮き上がり、次はもっと深く沈んでいって、いよいよ水面から遠ざかっていったのだった。

毎日好きなだけ肩車してくれたじいちゃんも、もういないのだな~。ああ。


亡き友や親友が私に言う。
どうでもよさげな人生だと思っていたけど、結構意外と去りがたい。
どれだけ好きなようにやったってまだ足りなかった。後悔や失敗もまた人生だと。

長生きしろ、死ぬな、全部無くしてボロボロになっても生きろ、今を生きろ、どうせ最初から何にも持ってないんだからさ!と言う。

そうだね、そう思う。
私は誰よりも好きなことをして誰よりも長生きをして、あいつは本当に幸せな人生だったよなと人に言われるように頑張ります。

寛樹、ミキ、富士子姉さん、そしてより子、見ていて下さい。
じいちゃんもな!

a0275715_1571141.jpg

[PR]

by fraterkouhou | 2012-07-21 13:48 | つぶやき

<< 久し振りに街に行く(笑) 金シャチ珈琲店…。これは…。 >>